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西川 芳彦(株式会社 ブイエスシー代表)

 

 

平成17年5月27日に,総務省統計局から「サービス業基 本調査報告(16年調査)」の速報が発表されました。このデータは,筆者が知る限り,業界の動向を知るうえで,信頼で きる唯一のデータだと思います。 この調査の特徴のひとつは、調査員による訪問調査とい う点です。調査員が,動物病院を1件ずつ訪問して調査し ますので、動物病院の看板を上げていない往診専門の開業 医や大動物の動物病院,実質的に診療をしていない動物病 院は除外されています。 もうひとつの特徴は、売上データが税務申告の数字と連 動している点です。一方的に調査票に書かれるデータでは なく、税務申告データの裏づけがあるので信頼性が高いの です。 さらに、5年前までは,大学病院や共済組合などの非営 利団体の統計と一般個人事業と法人の統計が一緒になって いましたが,今回から区別されました。 この統計の最大の短所は、5年に1回しか統計がとられ ないので、大きなトレンドしか知ることができないという1 ことですが、今回はその大きなトレンドを見ていきたいと 思います。

 

動物病院の売上高の総計は,1989年の741億円から1994 年は1,339臆円、1999年は2,338億円、2004年は2,816億円と 増加しています。この成長率を年率換算すると,1994年ま での5年間の成長率が年率平均15.9%,1999年までが年率 平均15.0%と高い成長率を維持してきたものの,2004年に はこの数字が48%にまで低下しています。 この成長率の低下は,動物病院1件当たりの成長率をみ るともっと明確になります。 動物病院1件当たりの平均売上は,1989年が1,345万円, 1994年が2,014万円,1999年が3,087万円,2004年が3.384万 円となっていますが,この間の5年ずつの年平均成長率は 次のようになります。1994年までの5年間の動物病院1件 当たりの成長率は年率10.6%,1999年までの5年問は 11.3%と高い数字だったのが,2004年までの5年間はこの 数字が2.3%に急落しています(図1,表1)。

 

 

 

図1-1 動物病院変遷グラフ

 

図1-2 病院増加数の推移と開・廃業予想数

 

 
1989年調査
1994年調査
1999年調査
2004年調査
事業所(病院)数
5,509
6,650
7,572
8,321

対5年前比率

120.7%
113.9%
109.9%

年平均伸び率

4.8%
3.3%
2,4%
売上合計
741億円
1,339億円
2,338億円
2,816億円

対5年前比率

180.7%
174.6%
120.4%

年平均伸び率

15.9%
15.0%
4.8%
1病院平均売上
1,345万円
2,014万円
3,087万円
3,384万円

対5年前比率

149.7%
153.3%
109.6%

年平均伸び率

10.6%
11.3%
2.3%

表1

 

 

今回の成長率低下の状況は,ある程度予想していたこと でした。しかし,もう少し予想がはずれて,上向いていて ほしいという希望を持っていたのも事実です。 今回の動物病院の成長率急落の要因として次のようなこ とがあると思います。

●高い成長率はいつまでも続かない

非常に単純ですが、2桁の成長率というものは長く続く ものではいということです。 近年の成長商品の代表的なものを考えてみると,携帯電 話,インターネット,宅配ビジネス,どれをとってみても 10年以上2ケタ成長を続けている商品は非常に少ないので す。「平成の失われた10年」といわれる経済の停滞期に10 年にわたって我が動物病院業界が2桁成長を続けてきたの は,非常にまれな例といえます。

●ベットの販売頭数の頭打ちと動物医療の一巡

犬や猫を「もらう時代」から「買う時代」になって純血 種が増えたことが,動物病院の成長に大きく影響を与えた ことは間違いありません。しかし,高額なペットを購入し て動物病院に継続的にお世話になるためには,ある一定以 上の収入が必要であることも事実です。新たにペットを購 入して,動物病院を新規に利用する人が減ったということ から,動物病院を利用する飼い主さんに動物医療が一通り いきわたったということがいえると思います。

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